株式会社 明野設備研究所

AFRI : Akeno Facility Resilience Inc.

FP:防火設計

Q&A:防災Q&A

建築防災計画に関するご質問をお寄せください。
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Questions

Answers

Q1性能設計ってなんですか?

建築基準法施行令第107条から同第129条の2の3には防耐火・避難関連の規定があります。これらは細かな数値まで決められた、いわゆる仕様書的な規定になっています。大型化、多様化する建物に建築基準法の規定を当てはめるのは困難な場合が多くあります。
規定を超えた設計が多く行われたのは1970年代からです。その頃は、建築基準法第38条により「建築基準法と同等の安全性を有する」ことを大臣認定で認めてもらうことで、大空間の出現、特殊な材料の開発・使用、特殊な防排煙設備など新技術の開発などが実現していました。いわゆる「38時代」です。
そして2000年に、国際基準との調和、規制緩和、自己責任原則の導入、技術開発の誘発などの観点から建築基準法が大改正、性能規定化が図られ、法第38条は削除されました。このことで「仕様設計」と「性能設計」という表現が一般化しました。この改正では防耐火・避難関連規定の性能規定化として「避難安全検証法」、「耐火性能検証法」、「防火区画検証法」の3つが施行され、旧法では曖昧だった安全性評価の基準や評価方法が明確になりました。

性能設計の種類

条 文 計算方法
階避難安全検証法
(令第129条の2第1項)
告示第1441号
全館避難安全検証法
(令第129条の2の2第1項)
告示第1442号
耐火性能検証法
(令第108条の3第1項)
告示第1433号
防火区画検証法
(令第108条の93第4項)
告示第1433号

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Q2避難安全検証法ってなんですか?

避難安全検証法には階避難安全検証法(建築基準法施行令第129の2)と全館避難安全検証法(建築基準法施行令第129条の2の2)の2つがあります。避難安全検証法では防火・避難関連規定を除外した設計が可能になります。階避難安全検証法と全館避難安全検証法では除外できる項目が異なります。除外項目一覧を参照ください。
階避難安全検証法の検証方法は告示第1441号に、全館避難安全検証法の検証方法は告示第1442号にあります。

例1:ある階の排煙設備をなしにできないか・・・

排煙設備の規定は階避難安全検証法で除外できます。除外することで、排煙設備をなしにしたり、自然排煙口面積を小さくしたり、機械排煙風量を小さくしたり、防煙区画面積を拡大したりすることができます。階避難安全検証法では、ある階の避難者全員が階段室に流入するまでの安全性の評価になりますので、その階のみを階避難安全検証法の対象とし、他の階は仕様設計のままとすることができます。当然、全フロアを対象とすることもできます。

例2:エントランスの3層吹抜に竪穴区画をなしにできないか・・・

竪穴区画の規定は全館避難安全検証法で除外できます。除外することで竪穴区画をなしにすることができますが、面積区画の規定は守らなければなりません。
全館避難安全検証法では、建物の全体の各居室から屋外に避難するまでの安全性の評価になりますので、1~3階の吹抜であっても地下階から最上階までのすべての階の検証が必要になります。

避難安全性能を確かめることにより除外できる避難関係規定の一覧

項目 条・項・号 内容 階避難 全館避難
防火区画 112 5   高層区画(11階以上の面積区画) ×
112 9   堅穴区画 ×
112 12   異種用途区画 ×
112 13   異種用途区画 ×
避難施設 119     廊下の幅員
120     歩行距離
123 1 1 避難階段の壁の構造 ×
6 避難階段の出入口の構造 ×
123 2 2 屋外避難階段の出入口の構造 ×
123 3 1 特別避難階段付室の排煙の構造
2 特別避難階段の壁の構造 ×
9 特別避難階段の出入口の構造
11 特別避難階段付室の面積
124   1 物販店舗の階段幅員 ×
2 物販店舗の階段への出口幅
125 1   階段室から屋外までの歩行距離 ×
125 3   物販店舗の屋外への出口幅 ×
排煙設備 126 2   排煙設備の設置
126 3   排煙設備の構造
内装制限 129      

( 注記:○印は除外できる項目、×印は除外できない項目 )

避難安全検証の概要

1. 居室避難

2. 階避難

3. 全館避難

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Q3耐火性能検証法ってなんですか?

建築基準法施行令第107条には、階数別に構造部位ごとの要求耐火時間の規定があります。そして要求耐火時間は、非損傷性、遮熱性、遮炎性の項目ごとに決められ、告示第1399号に性能を満たすための構造が示されています。
耐火性能検証法を適用すると、防火区画ごとに主要構造部の非損傷性、遮熱性、遮炎性を確かめ、耐火性能に合った仕様とすることが出来ます。
ガラス窓の開口面積が大きな区画ほど耐火時間が短くなる傾向にありますので、ガラスカ-テンウォ-ルの高層オフィスビル地上階のすべてが1時間耐火、というような検証結果も出てきます。ガラス窓開口の少ない区画は逆の結果になります。
耐火性能検証法の検証方法は告示第1433号にあります。耐火性能検証の概要を参照ください。

例:アトリウムまわりの柱や梁の被覆をやめたい・・・・

可燃物の設置がある床面に近い柱は被覆しなければなりません。床面から高い位置の梁や屋根架構は無被覆の可能性がありますが、アトリウムの高さや利用方法、周辺諸室の様子などにより検証結果は変わりますので、計画段階で事前検証が必要になります。
耐火性能検証で一番の問題は、検証は建物内で想定されるすべての火災が鎮火するまで建物が倒壊しないことを立証しますので、全館が検証の対象になる、ということです。アトリウムまわりの無被覆を計画しているのに、地下階とか他の階において大幅なスペックアップが求められることもあります。例えば、ある防火区画エリアで3時間耐火になることもあります。そうなると、床スラブ、防火区画壁、外壁など仕様規定には存在しないスペックを施さなければなりません。

耐火性能検証の概要

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Q4防火区画検証法ってなんですか?

建築基準法施行令第112条第1項(面積区画)は防火区画の面積制限の規定です。この規定は避難安全検証法では除外できません。面積区画の仕様を変えることができるのが防火区画検証法です。この検証法では規定の面積区画の数値を超えて燃え広がらないことを立証しなければならないので、本来あるべき防火区画の位置に延焼防止のための措置を施す必要があります。例えば、防火シャッタ-の変わりとなるような新製品を開発するとか、延焼しないような空間的な措置を施すとか、の対策です。これを「みなし特定防火設備」といいます。
延焼拡大は、炎が可燃物に直接触れたり、高温の煙が可燃物に触れたり、可燃物が炎からの放射熱を受けたり、などが原因となります。告示に室用途別床面積あたりの可燃物の発熱量が示されています。これは「すべての床面には必ず可燃物がある」というものですから、設計者が「可燃物を置きません」いう手法は使えませんので、平面的な燃え広がりを防止する場合は可燃物を置くことができないような状況をつくるしかありません。さらに、高温になった煙はどんどん広がっていくため、煙による延焼防止も困難です。可能性のある空間は、大空間であること、可燃物の設置が少ないこと、同一床面で面積区画の数値をこえないこと、です。そのような空間であれば、炎が上階に到達しない、煙の温度も低温、放射熱も低温、の条件が満たされ、延焼拡大を防止することができます。
防火区画検証法の検証方法は告示第1443号にあります。これは耐火性能検証法と同じものですから、検証の範囲は全館になります。

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Q5ル-トA、ル-トB、ル-トCってなんですか?

ル-トAとは建築基準法の規定に沿った設計で、いわゆる「仕様規定の設計」です。ル-トBとル-トCが「性能規定の設計」になります。
性能設計にはQ3Q4Q5で示したように「避難安全検証法」、「耐火性能検証法」、「防火区画検証法」の3つがあり、それぞれの計算方法は告示に示されています。この告示に示される計算方法等を使った設計がル-トBで、通常の建築確認申請で審査されます。
しかし、告示に示される計算方法は簡易にできる式なので、仕様規定よりも大きくスペックアップしなければならない結果が出たり、特殊な空間や構造には適用することができない、などいろいろ不都合が生じます。そこで、告示にはない高度で詳細な検証を行うことで、いろいろな不都合を解消し、合理的な設計が可能になります。このように告示式を使わなかったり、告示で定めている考え方を使わなかったり、規定の材料を使わなかったりする方法がル-トCです。
ル-トCでは、その検証方法が正しいかどうかの評価が必要になりますので、性能評価機関で「性能評価」を受け、その後に国土交通省の「大臣認定」を申請します。

設計ル-トの種類

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Q6ル-トCのスケジュ-ルは?

ル-トCのスケジュ-ルは、まず性能評価機関に防災性能評価を申し込みます。性能評価機関では月1回の受付があります。いくつかある性能評価機関の受付日はそれぞれ異なりますので事前に調べる必要があります。性能評価機関では1~2ヶ月間の審査期間が必要で、審査終了後に「評価書」が発行されます。その後、国土交通省の大臣認定を申請します。審査が終了すると「認定書」が発行されます。国土交通省の審査にも1~2ヶ月間の期間が必要になり、「評価-認定」で4~5ヶ月を要します。
認定書が発行されたことで、ようやく建築確認申請になります。ここでは事前審査を行うことで確認申請の時間短縮の可能性もありますので、審査機関とスケジュ-ルに関する事前協議が必要です。ある審査機関におけるル-トCのスケジュ-ルを参照ください。
ちなみに、ル-トBは建築確認申請の図書の一部となりますので、換気計算や構造計算などと同類のものとなり、確認申請時に避難安全検証法の計算書を添付することになります。

注記:

  1. 上表は一般財団法人日本建築センタ-のスケジュ-ルに基づいたものです。毎月、月の後半に申込日があります。
    各評価機関により申込の時期が異なります。評価機関のホ-ムペ-ジに日程が掲載されています。
  2. 評価の期間は規模、内容によりますが1ヶ月で終了する事も可能です。
    本委員会の日程は決まっていますが評価委員会の日程は個別案件ごとに決まります。
    上表の第一回~第三回の評価委員会の回数、日程は想定です。案件ごとに異なり、一回で終わるものもありますし、四回くらい行われるのもあります。
  3. 建築確認申請は大臣認定の期間中に審査可能な機関もありますので事前協議が必要です。

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Q7ル-トCの変更申請は?

2007年の「建築確認申請の厳格化」により、確認申請図と大臣認定図と竣工状態が一致しなければなりませんので、変更申請の都度、大臣認定の取得が求められています。
工事中の変更申請は大臣認定のスケジュ-ルと十分な調整が必要になります。

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Q8あらかじめ検証ってなんですか?

建築確認申請の厳格化は、設計と工事の業務期間中に大きな負荷を掛けています。
性能設計は種々のパラメ-タ-で性能を確認していますので、部屋の用途や大きさが変わったり、天井高が変わったり、扉の位置や数が変わったりすると検証結果が変わることがあります。しかし、性能にはまったく影響のない変更が多くあります。
2009年に国土交通省から「計画変更の円滑化のためのガイドライン」が公表されました。財団法人建築行政情報センタ-のホ-ムペ-ジに概要が掲載されています。
このガイドラインは通称「あらかじめ検証」といい、性能設計では個別具体的なプランではなく、あるル-ル内に収まるプランであれば安全性能に問題はないというもので、計画条件による大臣認定です。避難安全検証と耐火性能検証に使う事が出来ます。
あらかじめ検証で大臣認定を受けた条件通りの計画であれば、個別の認定を受ける必要がなくなりますので大幅なスケジュ-ル短縮が可能になり、竣工間際のテナント内装設計と工事には有効です。

事務室のあらかじめ検証の概要

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Q9性能設計を採用した建物の竣工後の運用方法は?

2012年に日本建築学会から「火災安全性能維持管理の手引き」が発行されました。この手引きは、建築確認が発生しないような内装の変更などに対応した避難安全検証の自主管理の方法を示したものです。
同様な資料として、2005年にロングライフビル協会(BELCA)が発行した「避難安全検証・耐火性能検証を行った建物のリニュ-アルの進め方」という冊子もあります。
性能設計は種々のパラメ-タ-で安全性能を確認していますので、建物運用における間仕切壁等の変更の都度、自主的に検証を行い、その資料を保存しておくことが重要です。

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Q10店舗の排煙設備をなしにすることはできますか?

避難安全検証法では排煙設備の規定を除外することが出来ます。しかし、これは火災初期の避難中の安全確認です。建築基準法の排煙設備は避難安全のためのものです。
初期消火に失敗すると、進展した火災の中に消防隊が進入しなければなりません。消防法には消火活動支援のための排煙設備の規定があります。地下階または無窓階で1,000m2以上の延べ面積の物販店舗に排煙設備の設置が必要になります。
消防法の排煙設備に関する性能設計は「消火活動支援性能検証」になります。性能設計の内容は「排煙設備に代えて用いることができる加圧防排煙設備の要件(H.21総務令88)」にあります。そして、財団法人日本消防設備安全センタ-からは「加圧防排煙設備の設計・審査に係る運用ガイドライン」が公表されています。ホ-ムペ-ジからダウンロ-ドも可能です。
消火活動拠点は連結送水管放水口を設ける位置に設け、防火区画構造として加圧防煙システムを設置することになります。つまり、消火活動拠点は非常用エレベ-タ-乗降ロビ-と同じような構造になります。加圧防煙システムの概念を参照ください。
規定通りの設計であれば「消防ル-トB」として申請できます。消防ル-トBの規定から外れた設計の場合は「ル-トC」になります。避難安全検証と同様に評価機関で評価を受け、その後に総務大臣認定申請になります。評価機関は財団法人日本消防設備安全センタ-です。

加圧防煙システムの概念

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Q11駐車場の排煙設備をなしにすることはできますか?

Q10の店舗の排煙設備と同様に駐車場にも「消防排煙」が必要になります。Q10を参照ください。

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Q12既存建物の排煙設備をなしにすることはできますか?

既存建物において排煙設備の設置がない、排煙設備の規定が守られていない、などの例は多くあります。
このような建物をリニュ-アルする場合、排煙窓や機械排煙設備を改修したり、増設したりするのは大変な事になります。そこで、避難安全検証法を適用することで、排煙設備なし、防煙区画の拡大、排煙設備の低減、などが実現すると極めて効果的なリニュ-アルになります。避難安全検証法を適用することでの安全対策の改修も当然発生します。排煙設備の規定通りにする場合の改修と、避難安全検証を適用する場合の改修の比較検討を行う必要があります。
公益社団法人ロングライフビル推進協会(BELCA)では「避難安全検証によるビルリニュ-アル」という本を発行しています。

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Q13面積区画を拡大することはできますか?

防火区画検証法を使うことで可能になります。Q4を参照ください。
Q4にあるように、延焼拡大防止は極めてハ-ドルの高い検証法なので、弊社では2件の実績しかありません。しかし、性能規定化後も空港タ-ミナルビルなどにおいて防火区画のない大空間が出現しています。
平面的に広がりのある空間に防火区画検証法を適用するのは困難ですが、面積区画の規定には「ただし書」があります。これを利用して建築主事さんとの協議により、用途上、空間構成上、やむを得ないものとして防火区画を行っていません。当然、安全性を考えるとフラッシュオ-バ-のような危険な状況にならない大空間に限って使える手法です。

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Q14耐火建築物を木造にすることはできますか?

耐火建築物の主要構造部に木材を使うには、ル-トA、ル-トB、ル-トCのそれぞれの方法があります。

[ル-トAの方法]

ル-トAの方法は、メ-カ-やゼネコンおよび協会等が個別に開発した耐火認定の材料を使う方法です。協会等とは日本木造住宅産業協会、日本ツ-バイフォ-建築協会、日本集成材工業協同組合、森林総合研究所などです。認定品には、耐火被覆型、燃え止まり型、鉄骨内蔵型の3種類があります。2011年に竣工した「東部地域振興ふれあい拠点施設/春日部市(設計・山下設計)」は耐火被覆型を使用しています。

[ル-トBの方法]

火災室において主要構造部である木材に着火しないことを立証します。そのために、火炎が主要構造部である木材に接しないこと、火災室温度が260℃を超えないことが条件になります。260℃は木材の着火温度です。
可燃物量が少なく外気に大きく開放された大空間、窓ガラス面積が大きな大空間であれば実現可能です。ただし、床面に近い柱は可燃物が近接して置かれる可能性があるため木材は使用不可です。床面から5.5m以上高い位置に木材が位置していれば実現の可能性はあります。
事例では屋根架構に木造を使ったド-ム建築が8件ほどあります。(例:あけのべド-ム、サンド-ム日向、南郷くろしおド-ム、綾てるはド-ム 等)

[ル-トCの方法]

ル-トCでは2つの評価方法があります。一つの方法は「主要構造部である木材に着火しない」ことを立証するもので、前述のル-トBの手法と同様のものです。ル-トBと異なるのは火災室の温度等の計算において実態に合った検証が出来ることです。2009年に竣工した「木材会館(設計・日建設計)」はこの手法を使ったものです。
二つ目の方法は「主要構造部である木材に着火するが燃え止まる」ことを立証するもので「燃え止まり設計」と言われるものです。燃え止まりとは、所要構造部の表層部のみが燃えて深層部まで燃えない、というものです。この方法は、表層部から深層部に向かってどの位置まで燃えるかを実験で確かめて、燃えていない部分で構造的な検証を行い、建物が倒壊しないことを確認します。弊社の実績として2008年に竣工した「高知駅(設計・内藤廣氏)」があります。高知駅では「実験-評価-認定」で約1年間を要しました。早稲田大学の長谷見研究室との共同研究でした。

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Q15内装材、外装材を木造にすることはできますか?

内装材に木材を使うことは避難安全検証法で可能です。しかし、避難安全上厳しい条件になりますので、可燃物量が少なく天井高が高い、そして避難人数の少ない部屋で実現可能になります。
外装(外壁)は、延焼のおそれのある部分は耐火構造または準耐火構造に、屋根は不燃材に、看板等の主要な部分には不燃材料を使用のこと、と規定されています。これらは法第22条、同23条、同63条に規定されています。装飾的に木材を使用する場合は、法規制はありませんが、多量に使うと上階延焼の原因にもなりますので注意が必要です。

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Q16都道府県の建築条例の規定を除外することはできますか?

都道府県の建築条例は興行場、集会場などの規定があります。これらの規定には「避難安全検証法を使うことで除外できる」とのただし書きがありますので、このただし書きを使うことで可能になります。都内の貸会議室、ホ-ルなどを併設する施設では、ホワイエの構造、階段や避難扉の構造などの規定を除外して設計した例が多くあります。
除外できる規定の東京都建築安全条例の一覧を参照ください。

東京都建築安全条例における集会・興行場に関する規定と除外

条例 内容
第41条 敷地と道路の関係 客席の定員に応じた道路幅員
第42条 前面空地(ホワイエ等の構造) 客席定員×0.1m2、天井高4.5m以上
第43条 客席部の出入口 客席定員による出口数が規定されている
出入口幅は1.2m以上
出入口幅合計は、客席定員×0.8cm以上
第44条 客用の廊下 客席500人以上の場合の廊下幅は、1.2mに500人を超える100人ごとに10cmを加えた数値以上
第45条 階段の構造 階段幅員は、客席定員×0.8cm以上
第46条 屋外へ通ずる出入口等 出口幅等は1.2m以上
出入口幅合計は、客席定員×0.8cm以上
第47条 客席内の構造 客席内の通路の勾配、階段のけあげ・踏面等
第48条 客席部と舞台部との区画 舞台の面積が100m2を超える場合、客席と舞台部は防火区画する
第49条 客席とその他の部分との区画 客席部と周辺室の防火区画 (不燃構造+防火設備での区画)
第50条 舞台と舞台部の各室との区画等 舞台部と周辺室の防火区画
第51条 主階が避難階以外にある興行場等 避難階以外の階に興行場、集会室を設けた場合の規制

■都知事が認める場合は適用しないことができる(第52条)⇒41条~51条
■階避難安全検証により適用除外(第8条の5)⇒43条、44条、47条、48条、49条
■全館避難安全検証により適用除外(第8条の6)⇒43条、44条、45条、46条、47条、48条、49条、50条、51条

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Q17避難安全検証のル-トBで小さな部屋がNGになるのはどうしてですか?

Q5で回答しましたようにル-トBは告示1441号の計算式を使う設計方法です。告示式は小さな部屋でNGになりがちです。その原因は、告示式は初期火災時の煙発生量があまりにも多すぎるからです。
ここで床面積99m2の事務室でケ-ススタディをしてみます。

□ ケ-ススタディの諸条件

用 途:事務室
床面積:99m2(ほぼ正方形の空間)
天井高:2.8m
避難扉:0.85m×1ヶ所(廊下に面する壁の中央部に位置する)
内装材:準不燃

□ ケ-ススタディの結果

設計方法 排煙方式 避難時間 煙降下時間 判定
ル-トA 排煙なし OK
(告示第1436号より)
ル-トB 1m2当たり1.0m3/minの機械排煙 0.76分 0.74分 NG
(避難時間>煙降下時間)
ル-トC 排煙なし 0.76分 1.06分 OK
(避難時間<煙降下時間)

□ ケ-ススタディの内容

①避難時間の算出

避難時間の算出方法はル-トB、ル-トCとも同じとしています。
避難時間=避難開始時間+歩行時間+扉通過時間=0.33+0.18+0.25=0.76[分]

②煙降下時間の算出

煙降下時間とは、煙層が床面から1.8mの高さまで降下する時間で、煙発生量と排煙量の差になります。
ル-トBとル-トCの計算の違いは煙発生量にあります。
ル-トBは簡易式なので火災の大きさ(煙発生量)が一定になっています。つまり、火災が発生した瞬間にかなり進展した火災状態で煙発生が一定しているのがル-トBです。煙発生量が多いため、小さな部屋はすぐに煙が降下してきます。
ル-トCは火災の進展に合わせた煙発生量の計算をします。火災が発生した直後は極めて小さな煙発生量で徐々に増えていく非定常計算です。いわゆる、高度な計算方法というものです。

下表は、ル-トBとル-トCの煙発生量を示したものです。避難時間は0.76分ですから、避難時間中の煙発生量はル-トBはル-トCの2倍程度になっています。

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Q18消防活動支援の加圧防排煙システムってなんですか?

Q10を参照ください。

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